【チームの中での自分の仕事を理解】

「チームの中での自分の仕事を理解する」…これがしっかり判っている個人が多く集まるチームは…強い。

 

団員のお一人が、Twitterで次のようなつぶやきがありました。
『組織の全体像を把握しながら、自分の役割を考えて行動する。常に「考える」ことが大事。最初から考えないで作業にしてしまうと、後々しんどい。』

全くその通りだと思います。


元来、お仕事についてのつぶやきと思われますが、これは、企業組織であっても、子供が頑張るバスケでもあっても、共通の原理原則ですね。

小学生とは言え、子供達に解ってもらいたいバスケでの原理原則と、社会で働く大人の仕事振りなどの縮図は、とても共通点が多いです。
逆に、仕事への取組姿勢については、大人が子供達のバスケからが学ばなければならないことや、大切な事を思い出さなけばいけないことが多い…。

 

僕はバスケ指導者ではなく、単なる娘バスケの追っかけ親父という立場なんですが…娘が小学生時代の数年前、トータル300試合以上のミニバスケ観戦に付き合ってきた結果、試合会場で見かける色んなチームにおいて、精神論や戦術ばかりを叫びまくる指導者が目に付きました。

 

基本的技術と、その技術がどのように試合で活かされるのかというところの道筋…つまり、バスケ全体像を子供に理解させておられる指導者が少ないように感じる場面が多かったのです。
幸い、娘がお世話になったご指導者は、基礎技術と道筋をしっかり教えて頂いていただけに、他のこうしたチーム指導者に違和感を感じたのかもしれません。

いやいや、中にはきちんと教える指導者もおられるし、教えておられない方への批判が目的ではありません。

 

この状態は、我々社会活動に関わる大人も、もう一度原点に帰るべき要素をここから学べるという話なんです。

 

とりあえず、結論から先に言いますと…

『シュートを決める子だけがヒーローではない。そのゴールは、コート内外全ての者の力で繋がれている。』 ということです。

 

ミニバスケや中学バスケを習う子供達は、日々繰り返して基本的な練習を学びます。
フットワーク練習、パス練習、シュート練習などの個人スキル以外にも、様々なことを学びます。

そうした練習を通して、どのチームにも、運動神経や身体能力が優れて上達が早い子と、そうでない子の実力差がどんどんできてしまうこともあります。

 

ここで重要なのが、身体能力が低い子、運動神経が鈍い子の「気付かせ方」です。
もちろん努力は継続的に惜しみなく続けるべきですが、頑張ってチームに貢献できる「仕事」を探させること・気付かせること・諭すことは非常に重要になってきます。
その「自分の役割・仕事」を意識させた日々の練習なのかが問われるわけです。


試合での具体例を挙げてみます。
最大のスポットが当たる瞬間だと…

  • シュートを決める
  • 相手のパスをスチールして速攻を仕掛ける


これは、誰でもわかりやすい貢献です。
次にわかりやすいのは、ボールが近くにある時ですね…

 

  • ルーズボールへの反応は誰にも負けない
  • ボールがラインを割りそうになっても、絶対最後まで飛びつく
  • シュートが下手くそでも、相手のプレッシャーに負けず、チームの誰よりもゴールに突進して、プレーで味方を鼓舞する
  • 凄い勢いでドライブしてくる相手がどんなに怖くても、しっかり体をコースに入れ、相手からチャージングをもらい、味方ベンチを盛り上げる


これらもわかりやすい貢献です。
もちろん、身体能力の差に関係なく、貢献できるプレーでもあります。

 

しかし、一番子供達に解ってもらいたいのは、スポットライトが当たらないところ… つまり、ボールが近くにないところで、どれだけ「仕事」をするかが、いかに大事かということなんです。
これを自分の持っている最大限の力を発揮して「仕事」をする子供を、どれだけ育てるか。


まさに身体上の弱者であっても、心の強者になること…その仕事が、どれだけチームに貢献されることになるかを理解させること…良いチームというのは、これが問われる気がします。

 

  • ボールが来ないところでも、リバウンド時にしっかりマッチアップ相手をボックスアウトしている
  • 攻守の切り替えが早く、背は小さくても足が遅くても、相手の速攻時に誰よりも早く戻ってディフェンスプレッシャーをかける
  • ボールと逆サイドからカットインしてくるマッチアップ相手を、簡単にボールを取らせないようにコースをしっかり防いでしまう
  • 味方のドライブする方向を読み、スペーシングに貢献して、その後シュートが落ちるかもしれない予測をして飛び込む
  • 相手にリードを許す展開の時、コート内であれ、ベンチであれ、誰よりも一番チームを声で励ます
  • タイムアウトの時、ベンチに戻る選手に、誰よりも先に水筒を渡してあげる
  • 正確にスコア表が書け、TO席よりも早くファール数をコーチに伝える


観戦している大人の目は、ついついボールの行方ばかり追いがちですが、ボールの無いところで、これら一つでもできる子は、自分の能力を最大限に活かした「チーム貢献」をしています。
それを、指導者も保護者も、是非賞賛して頂きたいです。

それを続けていると、常にシュートを決めてくるエース級の子も、決して天狗にならず、「みんなが必死につないでくれたボール」という意識も芽生えるようになるかもしれません。
身体能力は低くても、しっかり仕事をし続ける子は、徐々にバスケ全体像が掴めて来ます。
でも、そのお互いの意識こそが、チーム全体で育む「文化」ではないでしょうか?

これは、会社組織でも全く一緒なんです。

花形営業マンだけが注目されがちですが、実際のところ、それ以外の裏方事務で働く人の意識と自覚、会社全体像の理解力があると、モチベーションと能力ははるかに向上します。

そして、営業マンも、お客様に喜ばれると、その喜ばれる原因を作ってくれた仕入れ担当、倉庫管理担当、開発担当、経理総務担当などチーム全員へ、喜びを共感して欲しくなります。

 

裏方に目を向けた例では…
倉庫担当が、自分の役割をわからず、単なる棚卸の帳簿付けだけのことなら…「作業」にしかすぎません。

一方、品薄になっている商品をいち早く営業担当と仕入れ担当に伝え、在庫切れをなくして、お客様が欲しいというタイミングを逃さない。または、出荷の時、自分がお客様の気持ちとなって、初めて商品を手にした感動を伝える為に、ホコリの有無や箱の凹みも丁寧に確認する。余剰在庫気味の商品については、その商品動向や、営業担当から顧客評判などもヒアリング分析して、仕入れ担当または開発担当に伝え、次の新商品獲得の材料とする…ここまで自発的にする人は間違いなく「作業」ではなく、「仕事」をしています。

 

バスケで例えるのは多少無理がありますが、「仕事」と「作業」の違いは、全く一緒です。

味方がシュートを決め易いパスを出すのは「仕事」
味方の次のプレーを考えずにただ流れのまま出すパスは「作業」

 

これは企業事務職でも同じこと。
ただ社内に「作業」で他部署につなぐのではなく、最終的にその先にいる「顧客笑顔」を想って、自分の役割を果たす「仕事」をしているかで、顧客満足は異なります。

全ての組織体に言えることではないかもしれませんが、『給料は社長に貰っている』と思って「作業」をしている人と、『給料はお客様の感動や満足の大きさ』が自分に跳ね返ってくると思って「仕事」をしている人の違いですね…


最終的な満足を、ミニバスケや中学バスケで例えるなら、商品やサービスで対価を得る活動ではないので、「顧客満足」を「自己充実感」に置き換えて考えても良いのではないでしょうか?
つまり、「やり切った感」です。

 

組織の目標に向けて、今やっている自分の仕事は何か、全体像の中で何に貢献しているかをイメージしながら動ける人が集まるチームは…確実に強い!それにその仕事は愉しい!
これは、企業でも子供達のバスケでも全く共通していますよね…。


あらためて、結論に向けて整理しますと…。

歓喜の舞台(コート)の上は、スポットライトが当たる場所(ボールがある場所)以外にも、やるべき仕事はたくさんある。
スポットライトが当たっていない場所で、とても感動的な貢献をしているチームは、とても強いし、全員がとても愉しそうにバスケをしている。
なぜなら、その子達は、自分の能力を素直に受け入れながら自分ができる貢献や仕事を理解しているからです。
得点王ばかり目立つよりも、日替わりヒーローが出るチームは、間違いなく強い!それに、そういうチームは、自然とムードも盛り上がりますよね。

 

逆に自分の仕事が解らないチームの子達は、スポットライトの中に入りたがる…つまり、ボールがあるとこばかりに寄って行ってしまっているチームも多いですね…。


「作業」を身につける練習より、「仕事」を身につける練習組み立ては、指導者にも相当な努力は要ると思います。
少なくとも応援に駆けつける我々保護者は、スポットライトが当たらない舞台の上も、しっかり目を配り、少しでも「仕事」をする子がいれば、賞賛してあげて欲しいです。

 

それに関連して躍心JAPAN「勝手に表彰」というのも、勝手に作ってみました(^^)/

結局、子供に求めなくてはいけないことというのは、大人が普段のお仕事の中で率先して行うべき姿勢なんですよね(^^;)

 

 

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