先日、我が家の食卓に小冊子が置いてありました。
『 中学生のためのライフプランニング教材~「わたしの未来設計図」30歳の自分を想像してみよう!』という小冊子です。 娘が中学校でもらってきたのかな?…学研パブリッシング社が発行しているもの。
ページを開くと…これがまた…中学生に解り易い内容で、とても素晴らしい。 いや、大人でも、いろいろ再認識させられる部分もありました。
小冊子内容の流れは以下のとおり
・世の中にはどんな仕事があるの?
・仕事に就くまで、いつ、何をしなければならないの?
・30歳の時の家族、趣味、暮らしの事を考えよう
・30歳の時のあなたの家計を考えよう
・将来起こるかもしれない「いろいろな出来事」
・「保険」についても知っておこう
…と、最後は保険業界が制作した匂いはするものの…
巻末には、ファイナンシャル・プランナーも使うようなライフプランニング表が付いています。
中学生が「なりたい自分」が30歳までにやるべきことを書き込める表となっているため、ビジョンを描いた上で、具体的アクションプランにつながるようになっていました。
「今、何のための勉強で、将来どうなりたいかを考えると、さらにどんなことを勉強しければならないかを考える」ためのキッカケになる、とてもよくできた教材ですね。
そこから響いた子は、勉強の取り組み方も変わるでしょう。
ビジョンが描けていると、大人でも子供でも「その日暮らし」にはなりにくい。
ビジョンを持つと、日々の細かな意識が変わる。
よく、仕事へのモチベーションとクオリティについて、自動車の組み立て工場で働く人を例えに、こんな話を聞かされることがあります。
ただ単に、上司に指示されたとおりに自動車部品の取り付けをしている人と、
どんな車に仕上がり、どんなドライバー(顧客)が乗られるのかをイメージしている人とでは、徐々に仕上がり具合のクオリティに差が出てくるという例えです。
つまり…
前者は「作業者」
後者は「仕事人」
…となります。
前者は20年経っても同じ職場の可能性が高いですがが、後者は20年後には顧客サービス部門や広告宣伝部門の責任者…または経営者になっている可能性すらが広がります。
そう…「ビジョンを描いて仕事をしているかどうか」という差です。
ビジョンを持つ人は、そのビジョンに到達するための「逆算」の思考能力が備わります。
ミニバスケなどの少年スポーツも、勉強も、社会で働く人にも、同じことが言えるのかもしれません。
今やっている練習(勉強)が、試合(将来なりたい自分)でどんな時に活用するためのものなのかを理解した上で取り組む人と…、目上の人に言われているからただ単に「練習時間を過ごすための練習」になっている子では、モチベーションも吸収力も変わってきます。
・ミニバスケを卒業する時は、どんなチームになっていたい。
・そのチームで、自分は特にどういうことに貢献したい。
・卒業後は、どんなバスケプレイヤーになっていたい。
…そんなビジョンを持つことが、とても大切になってきます。
でも、もっと大切なのは、周りの大人(指導者・家庭)の姿勢かもしれません。
子供たちに、どのようにビジョンの大切さを気づかせること
日々の練習(勉強)は、「自分にとって何につながるのか」を考える子を育むこと
これらを意識しなければならないのでしょう。
コツコツと積み重ねる考え方も大事ですが、ビジョンができると、目標をもって時系列的な「逆算」の思考能力も養えます。
・いつまでに自分がどのようになっていたいか…
・そのためには、いつまでに自分は何をやっていなければならないか…
以前の団長語録でも何度か書いたことですが、それは身近なことからでもいくらでも訓練ができると思います。
・試合時間が何時だから、何時までにチームでアップを終わらせて心身ともに準備をしなければならないか
・明日の試合のために、気候やコンディションを考えると、何を鞄に詰め、明日は何時に出発するために、何時までにお弁当のお願いを親にすべきか
・明日の気温を考えると、水分補給用の水を多めにした方が良いのか、寒いようならば試合の合間の服装は何が必要なのか…
これら一切のことを、親が口出しをしてしまうことは、子供の「逆算」の思考能力を養う機会をどんどん奪ってしまうことになります。
そして、そうした生活面での組み立てができるようになると、不思議と「自分に足りないもの」を自分で磨くしかないと気づく時があります。
技術面もそうです。
自分で考え始める時が来たりします。
・今習っている練習は、将来ビジョンに自分が立つ時に、どのように役立つのか…
・その技術ができるようになるためには、何が必要なのか…
・人よりできないことを知れば、人よりも練習する必要があるのかないのか…
その考えができるようになるためには…悔しい思いは切り離せないでしょう。
「悔しい!」という経験…。
そう、「経験こそ我が師なり」です。
せっかっく「悔しい」と思ったのに、その後も努力せずに同じところでつまづいては、成長がありません。
そして、親が、それほど心配しなくても、どんなお子さんでも、感情表現の温度差はあれど、本気で「悔しい!」と思う時は必ず訪れるようです。
まあ、確かに、我が子には本当にその機会は本当に訪れるか?…と、親は口うるさく言うのを我慢するは、とても大変なのですが…(^^ゞ。。。
僕の経験では、娘が小5の時に、相手6年生エースとのマッチアップでボコにされて号泣した時がソレでした。
少し一人で泣かせてから、落ち着きを見せるころに声掛けをしたのを覚えています。
「おまえさぁ…悔しいってずっと泣き続けるけど、あの子はお前の何倍シュート練習をしてきたんやろうね?あの子はお前の何倍ドリブルやハンドリング練習をしてきたんやろね?…まあ、おれはガンバレなんて無責任なことは言わないよ…。頑張るか頑張らないかはお前が決めることや。…でも、次に対戦する時までに“あの子に勝てる自分”をお前の中で描けるほど練習しないと…結局また心の差で負けるよ。」
それだけは言いました。
それからは、こちらがイメージする以上の頑張りを見せました。
ミニバスケの練習だけでは追いつかないと、帰宅後もすぐにボールを持って外へ出る日が毎日続きました。
そう、ある日突然始めた自主練習は、その後ずっと続いたのです。
その目標としていた相手チームエースとは、お互い違う都道府県の中学に進んだので、なかなか対戦の機会がなかったのですが…とうとう、中学2年となった3年後、近畿大会で再び対戦する機会を得ました。
そして、ミニバス時代は一度も勝てなかったその上級生相手を下し、中学では夢の全国大会出場を果たします。
娘が持っていたのは、優れた身体能力でも、足の速さでも、体の強さでもありません。
娘が持っていたのは、「弱い自分に負けずに、絶対に全国の舞台に立つ!」というビジョンだった気がします。
ビジョンを描いた後に、自分は何をすべきか…それを実践しただけだと思います。
そりゃ~試合を観たら、解りやすい。
相手は相変わらず上手いし、カッコイイ。
娘は相変わらず不器用で、決して能力が高いようには見えない(^^ゞ…
でも…結局は…上手ではなくても、強くはなっていました。
…って書くと、ドラマチックな話のようですが、もちろん実際は、その間に何度も挫折や迷走もありました…
しかし、恥ずかしながら正直に書くと、
そうした娘の姿、娘のチームメイトの姿勢を見ていると、常に「ビジョン」を大事にしたご指導の様子に、僕自身が感心させられる毎日でした。気づかされる日々でした。
大人でも今でも「ビジョン」をしっかりと描いて、仕事しているだろうか…。
スポーツによって、心技体…特に文字通りにまず始めてきている「心」を磨くことの大切さ…心にはビジョンが描けているかどうかの大切さ…
これは大人になっての社会活動でも、全く同じだと気づかされるわけです。
いつまでも向上心を忘れぬ大人でありたい…
目を輝かしてスポーツをする少年少女に、あらためてありがとうと言いたい。
ビジョンを描くようになると…
その描いたビジョンに自分が立つためには何が必要かという「逆算」の思考能力。
そして、ビジョンは決して一足飛びには到達しないため、どれだけ日々の積み重ねが大事かという気づき…。
そんなことまでも、ふと思い返らされた「わたしの未来設計図」という小冊子だったのです。
しかし…日常生活で目にするアイテム全てが…バスケに結び付けてしまうこの癖って…もうほとんど病気ですね(^^)
まあ、躍心JAPANの団員なんて、みんなそんなもんでしょう…(=_=)イヒヒヒヒ…。
「ビジョン」という言葉は、小中学生には難しいですよね…。
しかし、大人がそのビジョンを持つ大切さを理解していれば、無理やり我が子に「自主練習」を強要することはしないでしょう。
強要しても、効果がないか、継続性が難しいと解っているからです。
自分から進んで「やらなければ!」と子供に思ってもらえるキッカケとして、ビジョンを持つ大切さを優しく語ってあげる機会があると良いですね。
ビジョンを描けるようになると、放っておいても自主練習まで始める子も出てくるようですよ。
あとは…、何と言っても…本人次第。
どれだけ競技が好きで、どれだけ仲間との目標到達に意欲があるか…。
そして親たちは、その結果よりも、まずはそのプロセスから得られる子供たちの成長に、感動をもらいましょうよ。
躍心JAPAN 団長